龍―RON―(13)

映画の撮影中にも関わらず、ていは岡山時彦といっしょに温泉に行ってしまう。
新聞は恋の逃避行と書きたてる。
しかし、ていは岡山の体を気遣ってついて来てしまっただけだった。
撮影が再開され、ていは見事な演技を見せることで、スキャンダルをささやく周囲を黙らせてしまう。
押小路の銅山が住田財閥に売れることになった。
しかし、龍は住田の本店支配人・大薮に賄賂を送っていた蒲郡を辞めさせてしまう。
小鈴の家で、叔父の卓磨に会った龍は、この収賄事件をリークしたのが父の一磨である事を知らされる。
思わぬスキャンダルに見舞われて大部屋の女優に戻っても、けなげに生きるてい。
そんな彼女の元へ、一通の電報が届いた。
そこには「チチ キトク」の文字が…。
故郷へ帰るため、会社の経理に給料の前借りを頼むていだったが、あっさり断られてしまう。
小田安次郎監督の映画『息子よ』の杉子役をもらったてい。
ていは、二年ぶりの主演となるこの映画に、全身全霊を傾けていた。
だが監督は、何度も何度もテストをくりかえし、なかなかOKを出さない。
そして、監督は自分を無にして演じることをアドバイスする。
鳳花のいた京劇の稽古場、科班(コオパン)を鳳花と共に見学に来た龍。
鳳花は世芳との立ち回りの中で、自身の過去を思い出していた。
鳳花の冷酷なまでに鋭い剣さばきに怯え切ってしまった世芳に、鳳花は役者の道を優しく諭す。
そんな鳳花を見て、龍はある決意を固める。
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